【大学支援】J-PEAKSが本格始動 多様なピークを形成し、日本の研究力向上へ
日本の研究力向上のためには、国際的に卓越した大学への支援と同時に、地域の中核となる大学や、特定分野に強みを持つ大学に対する支援も必要です。文部科学省では、「地域中核・特色ある研究大学強化促進事業(J-PEAKS)」において、様々な強みを持つ大学における研究力の飛躍的向上に向けた支援を開始しました。担当局長である柿田恭良 科学技術・学術政策局長が本事業を解説します。
研究力の向上に向けて
近年、我が国の研究力の低下が指摘されている中、日本全体の研究力を向上させ、新たな価値創造を促進していくことが求められます。研究力の源は大学であり、世界トップレベルの研究を行う大学を増やしていくことが必要です。
例えば、日独英の大学のTop10%補正論文数分布の比較(縦軸が論文数、横軸が大学の順位のグラフ)において、イギリスやドイツは、中位層の大学の論文数減少がなだらかであり、研究大学の層の厚みがあるということが言えます。
日本はトップ層だけでなく、中位層の大学も引き上げ、世界トップレベルの研究大学の層を厚くすることが課題です。この課題解決に向けては、総合大学のみならず、特定の分野において強みを持つ大学を増やし、研究大学の多様性を高めることが求められます。
日本の研究大学の層を厚くするために、規模は必ずしも大きくなくとも、圧倒的な強み・魅力を持つ大学が日本にもっとたくさんあっていいと思っています。
J-PEAKSに対する期待
「各大学が強みとする研究力は、世界を相手に突き抜ける――」
このような政策意図を山岳のピークの高さと豊かさに喩え、日本の研究大学のピークと個性を高めるという思いを込めて、JSPSとも相談し、この支援事業を「J-PEAKS」と銘打ちました。
日本の山岳は世界の中でも美しく、多様性に富む特徴があると言われています。例えば八ヶ岳には、赤岳をはじめ主に八つのピークがありますが、標高2千数百メートル以上でカウントすると、ピークの数は20を超えます。このように日本の研究大学においても、高くて多様なピークを形成し、層を厚くしていきたいと思っています。
令和5年度には12大学を採択し、令和6年度も5月末から公募を開始しました。各大学の積極性と自主性の下で大学独自の戦略を実行し、大学としての研究力や強みを増す取り組みを通じて、優れた博士人材の育成・輩出や、スタートアップの創出にも期待しています。
……………………………………………
「ミラメク」2024年夏号 記事
……………………………………………
読者アンケート: 「ミラメク」で取り上げてほしいテーマ(施策解説、話を聞きたい人物、魅力的な地域のプロジェクト)等、御意見・御要望をお寄せください。