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【数理】20周年を迎える科学技術の学習用ポスター、令和6年度版を公開|学習資料「一家に1枚 世界とつながる“数理”」

学習用ポスター「一家に1枚 世界とつながる“数理”」。
科学技術週間Webサイトから無料でダウンロードできる。

“数理”とは、「数学を道具として使うこと」です。こう書くと馴染みがないものと思われるかもしれませんが、実は、積み木遊びのように、子供たちがシンプルな数や形を使って遊ぶ段階から、意識せず使っているものです。もちろん、大人になっても日常生活の様々な場面で“数理”が見受けられます。

ポスター中央

ポスターの入口となる中央部分では、誰もがその場面をイメージできるような3つの事例(やまびこ、人形を置くとき、多数決)を紹介することで、“数理”の考え方である「世界のものごとを数や図形の関係で表して、その数学的な性質を利用し、理解したり答えを出したりすること」を自然に使って生活しているというメッセージを伝えています。

周囲のメイン部分では、実世界や社会で“数理”が利用されている具体的な事例を配置し、世界の様々な事象(森羅万象)が、“数理”を使って理解されていることや、“数理”を利用していることを知ることができるようにしています。例えば、「薬の量と飲む回数はどのように決められるか」「マンホールのふたの形の理由」など、普段当たり前に利用している事柄には“数理”を利用したものが数多くあります。

その他にも、「祝日「春分の日」の決め方」「生き物が生きていた年代の予測」のように、“数理”が予測や分析にも使われていることを示し、このポスターを見た方が“数理”という考え方を意識してもらえるようになる、さらには自分で使ってみようと思えるようになることを目指しました。

両端のコラム欄では、「人類と数理」、「表現と数理」というタイトルで、自然科学分野のみならず、人文科学分野や芸術分野における数理の紹介もしています。

身の回りのものごとをモデル化して数や図形で表し、その性質を使って現実世界の答えにたどり着く“数理”の考え方は、より一般的には「帰納」と「演繹」という現実の社会で大切な考え方に繋がります。例えば、売れる商品を作るには、顧客に対するアンケートやインタビューの調査を行って、「調査からある傾向や法則がわかった。だから、これからの商品はこうすると売れる」という、帰納と演繹を組み合わせた考え方が有効です。「数理」の考え方、帰納と演繹を意識し、活用できるようになると、アイディアを練ったり、ビジネスを行ったりする際に有効です。

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企画・監修・解説(協力):理化学研究所数理創造プログラム (iTHEMS: アイテムズ)
iTHEMSは、 数理科学を軸に分野横断研究を推進している、 2016年に立ち上がった新しい研究組織です。この 「一家に1枚」 のような科学コミュニケーションにも積極的に取り組んでいます。

ポスターは、文部科学省の科学技術週間Webサイトから無料でダウンロードできます。

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「一家に1枚」とは?

毎年、4月18日の「発明の日」を含む一週間(2024年は、4月15日(月)〜21日(日))は「科学技術週間」とされており、全国で科学技術に関する様々なイベントなどが実施されます。

文部科学省では、この科学技術週間にあわせ、2005年より、国民の皆様の科学技術に触れる機会を増やし、基礎的・普遍的な科学知識を普及させることを目的としたポスター「学習資料 一家に1枚」を制作しています。全国の学校や科学館に配布している他、文部科学省の科学技術週間Webサイトから無料でダウンロードできます。


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「ミラメク」2024年春号 記事

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